第三回スマートエネルギーマネジメントシンポジウム
エネルギーと農業のスマート化
ー パリ協定、SDGs、バイオエコノミーに向けて ー
現代農業はエネルギー依存度が高く、耕運、肥料、収穫、温室の加温などで多量の化石燃料を消費しています。農業は、他の産業と同様に、大気中への二酸化炭素の放出源となっており、国内外での脱炭素社会に向けた動きが加速する中で、省エネ、再生可能エネルギーの積極的な導入が求められています。その達成には、農学だけでなく、エネルギー科学、環境経済学などの結集が必要です。
京都大学では、農学研究科附属農場が拠点となり、学内の多くの部局が結集してグリーンエネルギーファーム活動を開始しており、スマートエネルギーマネジメント研究ユニットも発足時から連携して活動してきました。
今回のシンポジウムでは、エネルギーと農業のスマート化をテーマとし、パリ協定、SDGs、バイオエコノミーに向けてのスマートエネルギーマネジメントによる最適化に関して、さまざまな観点から議論したいと考えております。多くの方のご参加をお待ちしています。
日時 平成30年11月26日(月)10:30~16:50 (情報交換会 17:00~18:30)
場所 京都大学百周年時計台記念館 国際交流ホールⅠ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/clocktower
主催 京都大学 学際融合教育研究推進センター スマートエネルギーマネジメント研究ユニット
共催 産学連携コンソーシアム エネルギーの情報化ワーキンググループ
グリーンエネルギーファーム産学共創パートナーシップ
協賛 京都大学大学院農学研究科附属農場
参加費 無料(情報交換会は有料)
参加申込 https://goo.gl/nz4NMR (Google Formを使っています)
プログラム
【セッション1】
10:30~10:35
オープニング
岡部寿男(京都大学学際融合教育研究推進センター スマートエネルギーマネジメント研究ユニット長)
10:35~11:20
「グリーンエネルギーファーム構想:バイオエコノミー時代の農業のあり方」
柴田大輔(京都大学エネルギー理工学研究所 特任教授)
化石燃料に由来する気候変動を抑制する必要性が世界で認識され(パリ協定、2015年)、農業を含めた産業構造をどのように変革するかについて、脱炭素社会の基本的な概念である「バイオエコノミー」「サーキュラーエコノミー」に基づいて議論がなされている。農産物が食卓に上るまでに使われているエネルギー量は人類が使っている全エネルギーの30%程度と推定されており、これらのエネルギーを再生可能エネルギーに変えていく必要がある。京都大学が提唱しているグリーンエネルギーファーム(GEF)とは、農業分野における再エネ導入を積極的に行って、同時に、農業及び周辺のコミュニティーを健全に活性化しようとするものであり、バイオエコノミーにおける位置付けを紹介する。
11:20~12:05
「SDGsのためのCommunity Renewable Energy」
尾形 清一(京都大学大学院エネルギー科学研究科 准教授)
〔昼食休憩〕
【セッション2】
13:00~13:45
「小水力発電による地域活性化」
菊池 豊(高知工科大学 地域連携機構 特任教授)
欧州で先行していた再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度(FIT)が日本でも実施されるようにより、自然エネルギー開発が広く行われるようになった。この制度は単なるエネルギー源の多様化・自然エネルギーへのシフトだけでなく、疲弊する地域での経済的自立ツールとしても有効であると考えることができる。我々はFITの対象とする自然エネルギーのうち小水力に着目して、地域住民主体の発電事業による地域活性化に関する活動を行っている。本発表では、着眼点、活動内容、成果およびにその課題について述べる。
13:45~14:30
「施設園芸での再生エネルギー導入の課題」
土井元章(京都大学大学院農学研究科 教授)
施設園芸は収益性が高いが、投入されているエネルギー量が他の農作物栽培に比べて格段に大きく、省エネと同時に再エネの導入が課題である。施設園芸では金属製の骨材にガラスや光透過プラスチックを貼り、その内部で作物を栽培するので、被覆資材にかえてあるいはその内外に太陽光パネルを保持することが可能であり、作物を栽培しながら太陽光発電を行うことが可能である。京都大学附属農場のトマト栽培温室に軽量な有機太陽電池パネルを設置し、エネルギー収支のデータを二年間にわたり取得した(環境省プロジェクト)。これらのデータは、今後の施設園芸での再エネ導入の基礎資料として活用することができることを紹介する。
〔休憩〕
【セッション3】
14:45~15:30
「スマート農業技術の現状」
亀岡 孝治(三重大学大学院生物資源学研究科 教授)
デジタル社会に対する理解を踏まえて、日本のスマート農業の現状とEUのスマート農業の変遷を述べ、続いてスマート農業のあるべき姿を展望して、スマート生産を起点とするフード・エコシステムス、国際認証と国際標準化(GAP,HACCP & AgGateway)、日本の農業ICT研究(ブドウ用ワインの例)、農作物の品質、食品加工のスマート化、家族農業とスマートグリーンビレッジなどの話題を紹介する。
15:30~16:15
「グリーンエネルギーファーム産学共創パートナーシップの活動紹介」
齊藤三希子(NTTデータ経営研究所 マネージャー)
京都大学農学研究科が提唱しているグリーンエネルギーファーム(GEF)構想を社会実装するために、(株)NTTデータ経営研究所と提携して、GEF産学共創パートナーシップ(GEF-P)を2017年10月25日に立ち上げた。GEF-Pは、参画する民間会社、自治体との間で共同研究などを進めることによってGEF構想を実現することを目指している。また、農業は、環境保全、景観保全などにおいて重要な役割を有しているので、農業の多面的価値をも取り組んだ企業活動の支援も行っている。活動の現状を紹介する。
16:15~16:45
話題提供
日本学術振興会「電力と情報通信のネットワーク基盤の融合による超スマート社会 」研究開発専門委員会の発足について(岡部寿男・京都大学学術情報メディアセンター 教授)
総合討論
16:45~16:50
クロージング
17:00~18:30
情報交換会(カフェレストラン カンフォーラ)
会費制(一般 5,000円、学生3,000円)